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知識・教養

弱冠と若干の違い・意味と使い方 由来や例文を合わせて解説

弱冠 若干

ジャッカンという言葉で、考えられるのは「弱冠」「若干」ですね。

よくわからないうちに使い分けているけど、本当の意味や使い方、気になりませんか。

それぞれの漢字について、調べてみました。

弱冠の意味・使い方

弱冠の意味

『弱冠』とは、ズバリ「20歳の男性」を意味します。

語源は、中国の古い習慣からきたものです。

中国には、「四書五経」という、学問をする人は必ず読まなければならないとされる書物があります。

そのなかの2500年以上も前から伝わる「礼記」に、「弱とは20歳のこと、冠す」とあるそうです。

この「礼記」は、孔子も愛読していた由緒正しい書物です。

「冠」は、当時の男性の正装です。

「李下に冠を正さず」の、あの冠ですね。

つまり、二十歳になって初めて正装した、成人になった者、ということを意味します。

で、「冠」を被るのは男性だけですから、「成人したばかりの男性」ということになります。

この「弱冠」、成人したばかりの男性の初々しさを描いた傑作が「伊勢物語・初冠(ういこうぶり)」です。

成人して初めて冠を着けた青年が、春日山に遊びに出かけて、美しい姉妹を見つけて一目ぼれ。

でも軽くあしらわれてしまうという、ほのぼのと切ないお話です。

弱冠の使い方

正しい表現としては、「弱冠二十歳」なのでしょう。

でも現代では二十歳に限らず、「藤井壮太君、弱冠15歳にして6段に昇格」など、幅広い年齢に使われるようになりました。

古代の平均年齢は20歳を超えるか超えないか。

それにひきかえ、現代は80歳まで生きます。

それだけ幅広く、10代後半から20代までは「弱冠」と使っていいでしょうね。

「弱冠29歳の実業家」などと。

でも、それ以上の年齢の人を「弱冠」というのは、ちと図々しいですかね。

女性に使ってもかまわない、という学者もいます。

男女平等ですし。

若干の意味・使い方

若干の意味

「若干」とは、ほんの少し、という意味で遣われます。

私たちの日頃の会話ではあまり使うことはありません。事務的な言葉遣いといえます。

では、なぜ「若」と「干」という漢字が組み合わさって、「ほんの少し」という意味になるのでしょうか。

「若」は、とうぜん「若い」ということを表します。

それは同時に「生まれてからの時間が少ない」ということになります。

「若草」や「若駒」は、生まれたてのものです。

「若年層」というのは、まさに「若い人」、年齢が少ない人、ということですね。

「干」は、もともと、「さすまた」という武器を表した漢字です。

私たちがこの漢字を見ると、「干物」や「干潟」など、水分がないものを考えます。

でも、本来は武器ですから「干渉」のように、相手の領域に入り込む行動を示すのです。

武器は、攻撃にも使いますが、防御にも必要です。

「欄干」が、その意味ですね。

「柵を設けて、そこから出入りしない」ということ。

「若干」の「干」は、まさに、この意味で使われています。

つまり「若干」とは、少しの範囲を出ない程度、「少々」ということですね。

若干の使い方

事務的な文章やでよく見るのが、求人欄の「募集人員・若干名」です。

また、「若干の違いはありますが、基本的には変わりません」と、なにかを比べて、差のないことを説明するときに使います。

ただ、「若干」気になることがあります。

それは、この言葉が、はっきりした範囲を示さないことです。

「若干名募集」といっても、ほんの一人なのか、数人なのか、それともゼロなのか、わかっているのは、発言者だけです。

セールスマンから「他のメーカーより若干お安いです」といわれても、それがどの位の差額なのかは、はっきりしません。

つまり、発言する人にとって、都合のいい、あいまい言葉、ということもできますね。

まとめ

  • 「弱冠」は20歳の男性を意味するが、近年では10~20代であれば適用してOK
  • 「若干」は「ほんの少し」という意味

間違いやすいのが、「弱冠」を「若冠」としてしまうことです。

意味としては「若」でもよさそうです。

でもこうやって調べてみると、熟語はお互いの漢字がしっかり結びついて生まれたものです。

音や意味が似ているからと言って替えることはできない、固いきずなで結ばれたパートナー、それが熟語なのですね。

ゆうか