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知識・教養

確信犯=故意犯は誤用!正しい意味と使い方・代替の言葉とは?

確信犯

みんなで掃除を始めようとしたら、「あ、ちょっと用事があるから」といなくなる人。

面倒な仕事の割り振りの時だけ、「今、とても忙しいので、私には無理です」と逃げる人。

つい「あの人、『確信犯』じゃない?」と言いたくなります。

でも、その使い方は、ちょっと違っています。

確信犯の意味・由来

意味

「確信犯」の本来の意味は、「思想的・道徳的・宗教的・政治的な確信にもとづいて行われる犯罪」です。

一般的には間違っていますが、本人は間違っているとは思わないで、正しいと信じてする犯罪です。

分かりやすい例をあげるなら、たとえば、自分の信念で「国や社会はこうあるべき」と考えて、その実現のために罪を犯すこと、また、罪を犯した人のことなどです。

昭和40年代の日本では、学生運動が盛んで、ヘルメットをかぶった学生達が、大学に立てこもったり、角材を持って暴れたりしました。

これは、れっきとした犯罪ですが、学生達は「正しい目的のために行っているのだ」と考えていたと思います。

「違法行為だが、自分の信念としては必要な行為なのだ」という考えが背後にあるのです。

そういう考えでなされる犯罪、または犯罪者を、「確信犯」と言います。

由来

もともとは、ドイツの刑法学者が提唱した法律用語だそうです。

その考え方だと、暴力や殺人などの積極的な犯罪に限らず、国から迫害を受けている人々を助けたり、病気で苦しむ人を安楽死させたりする消極的な法令違反も「確信犯」となります。

日本では、歌舞伎などに、金持ちから奪った金を貧しい人に与える盗人(義賊)が登場しますがこれも、「確信犯」と言えるでしょう。

確信犯の使い方・例文

正しい使い方

法律上は犯罪ですが、自分では、信念を持ってやっているようなことを考えてみましょう。

例:こういう悪い会社は存在してはいけない、と思って、会社の建物に大きく「悪徳業者」と書きました。私は確信犯です。

間違った使い方

最近、「確信犯」を別の意味で使う人が増えてきました。

たとえば、こんな場合です。

会社の終業間際に急な仕事が入って、みんなが残業を始めた時、係長が急に姿を消しました。

次の日、聞いてみると「え? 残業なんてしたの? 知らなかったなあ」と、とぼけました。

そんなとき、誰かがささやきます、「係長、『確信犯』だよね」って。

ここでの「確信犯」は、「悪いことであると分かっていながらする行為・犯罪、又はその行為を行う人」という意味です。

上のように、「犯罪」とまではいかなくても、ちょっとしたサボリ行為・ズルイ行為を行う人にも、「確信犯」という言葉が投げられるようになりました。

でも、こういう使い方は、本来の意味ではなく誤用です。

× 〇〇さんは、飲み会の後の会計の時に、「財布を忘れた」と言って払おうとしないことがある。あれは、確信犯だ。

別の言い方で言うと何?

わざとやる犯罪、という意味では「故意犯」という言葉があります。

「犯罪」とまで言えないような内容のことなら、柔らかく「わざとやっている」「わかってやっている」でも、いいでしょう。

まとめ

  • 「確信犯」の本来の意味は、「思想的・道徳的・宗教的・政治的な確信にもとづいて行われる犯罪」のこと
  • 「悪いことだと分かっていながらする行為・犯罪、またはその行為を行う人」という意味ではない

「確信犯」は、本来、自分の思想・信条・信念に関係するとても強い言葉です。

その言葉の重みを考えれば、ちょっとしたサボリ行為まで「確信犯」と呼ぶ最近の誤った使い方は、どうなんだろうと思います。