先の記事に単漢字で「ふく」と読む言葉の紹介をいたしましたが、今回は「く」を送り仮名とした「ふ-く」という言葉についてご紹介したいと思います。

いろいろな「ふ‐く」の意味と違い
「拭く」
布や紙などで汚れを取る。ぬぐう。
例:ガラスを拭く
例:こぼした水をハンカチで拭く
よく耳にしたり目にしたりする言葉ですね。
「葺く」
①板や瓦、萱などで屋根を覆い作る。
②草木などを軒端などに挿しかざす。
例:屋根を葺く
例:軒端に花を葺く
あまり耳にしない言葉ですが、①の意味は屋根を建築する際に使われている言葉のようですね。
②の意味も、理解すればなるほどという感じですが、筆者の周りではなかなか使われない言葉です…
「ふく」
料理で、魚のうろこを取り除くこと。
例:鯛の鱗をふく
魚の鱗をガリガリと取り除くことを「ふく」というのですね。
魚介好きの筆者も初めて知ったので、とても勉強になりました。
次に「吹く」と「噴く」についてご紹介するのですが、意味が似ていて間違えやすいため、違いについて着目しながらご紹介いたします。
「吹く」と「噴く」の違い
「吹く」
①気体が動きを起こす意。転じて、ものの内部から勢いがわきあがって何かを生ずる意。
②風が起こる。また、動いて通っていく
③それまで見えなかったものが表面に表れ出る。生じる
④風が通ってきてものに当たる
⑤口をすぼめて息を強く出す。息をはく。
⑥息を強く出して物に当てる
⑦管状のものに息を貫き通す
⑧楽器を吹くことによって音楽を作り出す。演奏する。
⑨ありもしないことを言う。また、事実を大げさに言う。
⑩水を霧状にして吹きかける
⑪呼気といっしょに鯨が海水を勢いよく体外に出す
たくさん意味があるようですが、見覚えのある意味ばかりなのではないでしょうか。
また、よく「うそぶいている」と言ったりしますが、これは⑨の意味を持っていることがわかります。
例:そよ風が吹く
例:ほらを吹く
「ヒュー」や「フーッ」といった効果音が聞こえてきそうな感じがしますね。
「噴く」
①内部にある気体、液体、火などが勢いよく外に出る場合に使う
②沸騰して中の湯などがあふれ出るまたそのようにする。
①に「勢いよく」とあるように、かなり強い意味で使われるようです。
例:火山が火を噴く
例:やかんから水蒸気が噴き出る
「ボオー!!」や「バシャー!!」といった感嘆符がつくような効果音が聞こえてきそうな気がします。
勢いが強く、いろいろなところに火や液体が飛び散っているようにも感じますね。
ふく勢いによって「吹く」なのか「噴く」なのか使う漢字が変わるようです。
優しく、または普通にふくときは「吹く」を使い、勢いのある時は「噴く」を使うということになります。
千葉県船橋市の非公認某ゆるキャラの有名なセリフに「○○ブッシャー!!」というものがありますが、これはブッシャー!!という擬音から勢いよく出ていることがわかるため、この某ゆるキャラは○○を噴いていることが理解できますね。
まとめ
- 「拭く」・・・布や紙などで汚れを取ること
- 「葺く」・・・瓦などで屋根を覆い作ることや、軒端に花などを飾ること
- 「ふく」・・・魚の鱗を取り除くこと
- 「吹く」・・・はっきりとした形のないものが目に見えるものに変化すること、そこに空気の流れがあるという存在を表現すること
- 「噴く」・・・内部にある気体、液体、火などが勢いよく外に出ること
今回は送り仮名のついた「ふく」という言葉についてご紹介いたしました。
あまり耳にしない言葉もありましたが、皆さんが「ちょっとためになったな」と思ってくだされば幸いです。