北海道の名物として親しまれている「ザンギ」。
その独特の名称や味わいに魅了される人も多いですが、そのルーツには意外なストーリーが隠されています。
今回は、「ザンギ」とは何か、その発祥や「せんざんき」との関係、そして「北前船」との意外なつながりについて掘り下げていきます。
▼目次(クリックで見出しへジャンプ)
ザンギとはどんなものなのか?
「ザンギ」は、北海道で定番の揚げ物料理です。
鶏肉を醤油ベースのタレに漬け込み、衣をまとわせて揚げたもので、カリッとした衣とジューシーな肉が特徴。
居酒屋の定番メニューとしても愛され、家庭料理としても親しまれています。
「ザンギ」と「唐揚げ」の違い
一見すると「ザンギ」は「唐揚げ」と同じように見えますが、以下の点で異なります。
ザンギ | 唐揚げ | |
---|---|---|
下味 | 肉に下味をつけてから揚げる | 下味なしの肉を揚げてから味付けをする場合も多い |
味付け | 一般的にザンギのほうが味が濃い | |
衣の特徴 | 片栗粉や小麦粉に卵を混ぜて揚げる | 卵を使わず、小麦粉や片栗粉などの粉類をまぶして揚げるものもある |
北海道民にとっては「唐揚げ」と「ザンギ」は全く別物と認識されていることも多いです。
ザンギの発祥について
「ザンギ」という言葉の起源については、いくつかの説があります。
1. 中国料理「炸鶏(ザーチー)」由来説
「炸鶏」とは中国語で「揚げた鶏肉」を意味します。
これが日本に伝わり、音が変化して「ザンギ」になったとされています。
2.釧路発祥説
1960年代、北海道釧路市の中華料理店「鳥松」が「ザンギ」というメニューを初めて提供したのが広まったという説もあります。
この店では「炸鶏(ザーチー)」を参考にしたと言われています。
「せんざんき」が由来?
「せんざんき」とは?
「せんざんき」は、愛媛県や高知県など四国地方で親しまれている揚げ物料理で、ザンギと非常に似た特徴を持っています。
鶏肉を醤油ベースのタレに漬け込み、片栗粉をまぶして揚げた料理で、香ばしさが魅力です。
「せんざんき」を食べる地域
「せんざんき」は主に四国の瀬戸内海沿岸地域で食べられています。
この地域では古くから鶏肉の揚げ物が伝統料理として定着しており、地域によっては「せんざんぎ」と呼ばれることもあります。
北前船が寄港した港と地域
「せんざんき」と「ザンギ」の関係を考えると、北前船(江戸時代から明治時代にかけて日本海を行き来した商船)の影響が注目されます。
北前船は瀬戸内海から北海道まで多くの港に寄港し、文化や食材の交流を促しました。
主な寄港地としては以下の地域が挙げられます:
- 瀬戸内海:松山(愛媛)、高松(香川)など
- 日本海沿岸:金沢(石川)、舞鶴(京都)、敦賀(福井)
- 北海道:小樽、函館
この交易の中で、瀬戸内地方の「せんざんき」に似た料理が北海道にも伝わり、「ザンギ」として発展した可能性があります。
結論:「ザンギ」と「せんざんき」のつながり
「ザンギ」と「せんざんき」は、似た製法や味付けを持つだけでなく、北前船の寄港地という共通点を考慮すると、歴史的なつながりがある可能性が高いです。
「ザンギ」の発祥を語る際には、中国料理の影響とともに、日本国内の地域料理や歴史的な物流ルートを意識することで、さらに深い理解が得られるでしょう。
北海道に行った際にはザンギを、四国を訪れた際にはせんざんぎを楽しんでみてはいかがでしょうか?