「72の法則」は、投資や資産運用の分野で非常に有名な計算方法の1つで、利回りや成長率を考える際に便利なツールです。
この法則は複利の基本を直感的に理解する助けとなり、初心者からプロまで幅広く利用されています。
この記事では、以下の3つのポイントに基づいて72の法則を解説します。
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数学的な意味合い
72の法則は、ある投資が一定の利回りでどれくらいの期間で2倍になるかを簡単に計算する方法です。
具体的には、以下の公式を使用します。
例:5%の利回りで2倍になるまでの年数
この法則は、複利計算の基本公式から近似的に導かれています。
複利計算の正確な公式は以下のようになります:
ここで、r は利回り、n は期間を示します。
72の法則は、この公式を簡略化し、実用性を高めたものです。
実際の使い方
投資の計画に役立つ
例えば、株式市場や不動産投資を考える際に、将来の資産の成長をざっくりと見積もるのに便利です。
以下のようなケースで使用できます:
- 長期投資:年利7%の株式ファンドに投資するとします。72 ÷ 7 = 約10年で資産が2倍になります。
- 預金の比較:年利2%の普通預金では、72 ÷ 2 = 36年かかります。これにより、投資先の選択の重要性が理解できます。
教育資金や老後資金の計画
例えば、10年後に子供の大学費用を2倍に増やしたい場合、必要な利回りは次のように計算できます:
目標に応じて現実的な利回りを設定する指標として利用できます。
計算できないパターン
72の法則は便利な近似法ですが、すべてのケースで正確に適用できるわけではありません。
以下のような例外的な状況があります:
利回りが非常に高い場合
利回りが20%以上の場合、72の法則では誤差が大きくなります。
この場合、公式よりも正確な複利計算を行うべきです。
例:年利30%の場合
変動利回りの場合
利回りが年ごとに変動する場合、72の法則は使えません。
このような場合は、毎年の利回りを元に複利計算を行う必要があります。
成長率が負の場合
72の法則は、正の利回りを前提としているため、資産が減少している場合には使用できません。
例:年率-5%の場合
72の法則では計算できません。
減少するスピードを理解するには、複雑な数学モデルが必要です。
まとめ
72の法則は、資産が複利でどれくらいの期間で2倍になるかを直感的に理解するための便利なツールです。
しかし、その近似性ゆえに、高い利回りや変動する利回りには適用が難しい場合があります。
計画を立てる際には、この法則を目安として利用し、詳細な分析には複利計算やプロのアドバイスを併用することをお勧めします。