節分といえば、豆まきをイメージする人も多いですが、近年では「恵方巻」を食べる習慣も定着してきています。
恵方巻はその年の吉とされる方角、いわゆる「恵方」を向いて食べます。
毎年方向が変わっているイメージですが、実は4方向しかないの知ってましたか?
この「恵方」はどのように決まっているのでしょうか?
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なんで節分に「恵方巻」を食べるの?
「恵方巻」の食べ方
「恵方巻」を食べる時は、以下の作法を守ると良いとされています:
- その年の恵方を向く
- 願い事をしながら黙って食べる
- 一本丸ごと切らずに食べる
ちなみに、食べてる途中で水分を取ることや醤油を付けるのは、明確に禁止されていることはないものの、口から恵方巻が離れることで福が逃げてしまう為、飲まないほうがよいと言う意見が多いようです。
醤油は先に付けておく、ゆっくりよく噛んで食べるなど工夫をして、喉に詰まらせないように気を付けながら楽しみましょう。
「恵方巻」を食べるのは縁起を担ぐため
節分に「恵方巻」を食べる理由や食べ方に込められた意味には次のものがあります。
- 巻き寿司の形状が縁起物である”巻物”に似ており、「運を巻き込む」
- 七福神にちなんで、7種類の具を巻くことで、「福を巻き込む」
- 黙って食べることで、「運を逃がさない」
- 1本切らずに丸ごと食べることで、「縁を切らない」
いづれも縁起を担ぐためですね。
具材が豊富であることから、商売繁盛や家族の健康を願う象徴ともされています。
節分は立春の前日にあたり、旧暦では一年の区切りとして重要視されていました。
この日に縁起の良いものを食べることで、新しい年の運気を上げようという考えが広まったと言われています。
節分に「恵方巻」を食べるのはいつから始まった?
「恵方巻」を節分に食べる習慣の起源は、江戸時代末期から明治時代初期にかけての大阪にあるとされています。
当時、商売繁盛を願って、七福神にかけた7種類の具を入れた巻き寿司を食べる風習が一部で行われていました。
ある説では、花街の芸子や商人たちが縁起を担ぐために始めたとも言われています。
全国に広まったのは昭和後期から平成にかけてです。
1980年代、ある大手コンビニエンスストアが恵方巻を節分の商品として販売したことがきっかけで、全国的なイベントとして定着しました。
広告やキャンペーンを通じて”恵方巻を食べると願いが叶う”というイメージが広がり、今では多くの家庭で節分の定番となっています。
恵方巻をその年の方角を向いて食べるのは何故?
恵方巻を食べるときにその年の特定の方角を向く理由は、古くから日本に伝わる陰陽道の思想に基づいています。
陰陽道では、歳徳神(としとくじん) と言うその年の福を司る神様がいる方角が最も縁起が良いとされています。
そのため、恵方巻を歳徳神のいる方角を向いて食べることで、幸運を取り込むと信じられています。
方角の決まり方は?
では、歳徳神がいるとされる方角、いわゆる「恵方」はどのように決まるのでしょうか?
歳徳神の御座する方位は毎年変わる
歳徳神は陰陽道で毎年 甲 → 庚 → 丙 → 壬 → 丙 の方角を順番に回っていると考えられています。
5方向に見えますが、「丙」が2回出てくるため、実際には4方向です。
甲、庚、丙、壬って?
「甲、庚、丙、壬」とは、十干(じっかん)と言う、古来中国から伝わった日付を10日のまとまりで数えるための呼び名の一部です。
十干と言う名の通り、全部で10種類あります。
十干 | 甲 | 乙 | 丙 | 丁 | 戊 | 己 | 庚 | 辛 | 壬 | 癸 |
音読み | こう | おつ | へい | てい | ぼ | き | こう | しん | じん | き |
訓読み | きのえ | きのと | ひのえ | ひのと | つちのえ | つちのと | かのえ | かのと | みずのえ | みずのと |
わかりやすい方角で表すと?
「甲、庚、丙、壬」の方角は十干、十二支、八卦(はっけ)を使って方位を24に分割した24方位で表したもので、現在使われている16方位(東西南北)で表すとそれぞれ以下のようになります。
24方位 | 16方位 |
---|---|
甲 | 東北東やや東 |
庚 | 西南西やや西 |
丙 | 南南東やや南 |
壬 | 北北西やや北 |
24方位と16方位はそれぞれ360°を24分割と16分割しているので、24方位の「甲、庚、丙、壬」にぴったり合う方角は16方位に存在しません。
なので、「やや〇」と言う表現となります。
正確な方角で恵方巻を食べるには?
スーパーなどでは「やや〇」を省略して「今年の恵方は 東北東 です!」などと表記している場合がほとんどです。
しかし、実際は「やや〇」と少し方角がずれています。
では、どうすれば正確な方角で恵方巻を食べれるでしょうか?
答えは・・・
「方角を角度で表すこと」です!
「東北東やや東」が実際にどのくらい「やや」なのかと言うと、7.5° 東に傾いた方角です。
「やや〇」は、〇の方向に 7.5° 傾くと正確な方角になります。
先程の表に 北を0°とした時の各方角の角度 を追加すると:
24方位 | 16方位 | 北を0°とした時の角度 |
---|---|---|
甲 | 東北東やや東 | 75° |
庚 | 西南西やや西 | 255° |
丙 | 南南東やや南 | 165° |
壬 | 北北西やや北 | 345° |
スマホのコンパスアプリの多くは、それぞれの方角を北を0°とした時の角度でも表しているので、正確な方角で恵方巻を食べたい場合は、スマホアプリで角度を確認してみましょう!
今年の恵方の出し方は?
恵方は毎年 甲 → 庚 → 丙 → 壬 → 丙 の順に回っているので、5年で1周、10年で2周します。
つまり、西暦の下1桁の数字でどの恵方かがわかるようになっています。
西暦の下1桁 | 恵方(24方位) | 恵方(16方位) | 北を0°とした時の角度 |
---|---|---|---|
4, 9 | 甲 | 東北東やや東 | 75° |
5, 0 | 庚 | 西南西やや西 | 255° |
6, 1 | 丙 | 南南東やや南 | 165° |
7, 2 | 壬 | 北北西やや北 | 345° |
8, 3 | 丙 | 南南東やや南 | 165° |
なので、 2025年 の恵方は「西南西やや西」、2026年の恵方は「南南東やや南」になります!
まとめ
- 「恵方巻」を食べるのは縁起を担ぐため
- 「恵方」は実は4方向しかない
- 「恵方」は 甲(東北東やや東) → 庚(西南西やや西) → 丙(南南東やや南) → 壬(北北西やや北) → 丙(南南東やや南) の順に巡っている
恵方巻は、節分の行事に彩りを加える楽しい風習です。
その由来や食べる方角の決まり方を知ることで、より深くその意味を感じられるでしょう。
今年の節分には、ぜひ家族や友人と一緒にその年の恵方を向いて、縁起を担ぎながら恵方巻を楽しんでみてはいかがでしょうか?
また、恵方巻の具材や食べ方にこだわるのも楽しみの一つです。
伝統的な七福神を意識した七種類の具材を使ったものから、創作的な巻き寿司まで、バリエーションは豊富です。
お気に入りの恵方巻を手に入れて、新しい一年の幸運を願いましょう!
恵方巻を食べる際には、その文化的背景や意味をぜひ感じながら楽しんでください。


