ビジネスシーンでは、昭和・平成のビジネスパーソンがよく使う独特の言い回しが今も根強く残っています。
令和の新入社員として、こうした “昭和・平成のビジネス用語” を知っておくと、職場の会話もスムーズに進みます。
本記事では、よく使われる言葉を あいうえお順 で紹介し、その意味や使い方、成り立ちを解説します。
▼目次(クリックで見出しへジャンプ)
あ行
アンパイ
意味
無難で安全な選択肢やリスクのない方法を指す言葉。
「とりあえず安全策を取る」というニュアンスで、挑戦的な選択肢を避け、失敗のリスクを最小限に抑えるときに使われる。
成り立ち
麻雀用語「安全牌(あんぜんぱい)」が語源。
麻雀では、相手がロン(上がり)できない安全な牌を「アンパイ」と呼ぶ。
この意味が転じて、ビジネスシーンでは「リスクを避けて無難な選択をする」ことを指すようになった。
例文
新しい戦略を試すより、今回はアンパイな方法を選ぼう。
「アンパイ」は保守的な選択を示す言葉ですが、状況に応じて安定した結果を求めたいときに有効です。
ビジネスシーンでは、リスク管理の文脈で使われることが多いです。
いまいま
意味
「今すぐ」「ただちに」を強調した表現。
急を要する指示や対応を求める際に使われる。
成り立ち
「今」を重ねて強調した俗語。
例文
重要な案件なので、いまいま詳細を確認してください。
「いまいま」は緊急性を伝える際に便利ですが、口語的でやや乱暴な印象を与えることがあります。
正式な場面では「至急」や「ただちに」といった丁寧な表現を使う方が良いでしょう。
えいや
意味
勢いに任せて決断したり、細かい検討を省いて一気に実行することを指す。
「細かいことは考えず、思い切って決める」といったニュアンスがある。
成り立ち
もともとは「えいやっ!」という掛け声から派生した言葉。
武士や職人が力を込めて一気に動作を行う際に発した声が由来。
例文
えいやで始めたプロジェクトが意外とうまくいった。
「えいや」は迅速な決断力が求められる場面で使われますが、準備不足の印象を与えることもあるので、使いすぎには注意です。
鉛筆なめなめ
意味
じっくり考えると意味もあるが、報告書や数字を都合よく調整したり、帳尻を合わせることを意味する。
少し不正やごまかしのニュアンスを含む言葉。
成り立ち
昔の経理担当者などが質の悪い鉛筆の芯を舐めて紙に滑らかに書く仕草から生まれた言葉。
ここから「鉛筆を使って数字をごまかす」「帳簿を調整する」といった意味に転じた。
例文
売上予測が厳しいから、ちょっと鉛筆なめなめして数字を調整しよう。
「鉛筆なめなめ」は軽い冗談として使われることもありますが、不正や誤魔化しを連想させるため、正式な場では避けた方が無難です。
落としどころ
意味
交渉や議論において、双方が納得できる妥協点や合意点のこと。
成り立ち
もとは落語の話を締めくくる「オチ」から転じて、議論の場で話の終着点を探すと言う意味になった。
例文
価格交渉では、お互いに譲歩し合って落としどころを見つけた。
落としどころを見つける際は、自分の立場を守りつつ、相手の意見や状況も考慮することが大切。
あくまで双方が納得できるラインを見つけることを意識しましょう。
か行
カツカツ
意味
時間や資金、人員などが余裕のないギリギリの状態を指す言葉。
成り立ち
物がぶつかる音「カツカツ」から転じて、何かが限界に達している状況を表すようになった。
枯渇の「渇」を重ねた言い方。
などの説がある。
例文
納期がカツカツで、全員フル稼働しないと間に合わない。
「カツカツ」を使う際には、その言葉が持つギリギリの意味合いをよく理解して使いましょう。
相手に過度なプレッシャーを与えたり、状況が悪化していることを強調しすぎると、ネガティブな印象を与える可能性があります。
特に上司や取引先に対して使う場合は、他の解決策や前向きな対応を示すことが求められます。
ガッチャンコ
意味
2つ以上のアイディアなどを合わせて、1つに合体させること。
成り立ち
機械や物が噛み合う音「ガッチャンコ」から転じて、物やアイデアをうまく組み合わせることを指すようになった。
例文
新しいアイデアを既存の戦略とガッチャンコさせて、効果を上げよう。
「ガッチャンコ」は、カジュアルで柔らかい表現であるため、フォーマルな場面や上司に対して使う場合は注意が必要です。
特に正式な会議や文書では、もう少し堅い表現を使った方が良いこともあります。
また、意図的に使う場合でも、物事を無理に「ガッチャンコ」させると不自然になりかねないので、自然な流れで使うことを心がけましょう。
決め打ち
意味
事前の議論なしに、特定の方針で進めること。
成り立ち
麻雀やゲームの用語で、手を打つ際に選択肢を絞って一気に決定することから転じて、ビジネスの場でも使用されるようになった。
例文
柔軟な対応も必要だけど、今回は決め打ちで行くしかないね。
「決め打ち」は、あらかじめ決めた方針に基づいて行動することを指し、確信を持って進める意味合いが強いです。
途中での変更を避けるため、決定時点での情報収集や議論が重要。
決めの問題
意味
議論よりも意思決定が求められる場面。
成り立ち
もともと「決めどころ」や「決定的な問題」といった意味合いから派生して、「決めるべき重要な問題」というニュアンスで使われるようになった。
例文
ここまで細かく詰めたら、あとは決めの問題だね。
「決めの問題」を使う際は、その場が本当に決断を下すべき局面であるかを考えましょう。
誤って軽い話題に使うと、重要性が伝わらず、説得力に欠けることがあります。
決定的な場面で使うことで、他の人々にその重要性をしっかり伝えることができます。
さ行
ざっくり
意味
大まかに、簡単に、詳細にこだわらずにという意味。
成り立ち
「ざっくり」はもともと、何かを切ったりする音から派生した擬音語で、大きく大雑把に切ったりすることを指す。
そこから、ものごとを細かく分けず、大雑把に扱うことを指すようになった。
例文
ざっくりした見積もりでいいから、まず出してみて。
「ざっくり」はあくまで概要や大枠をつかむ際に使う言葉であり、詳細を求められる場面では適しません。
使う場面を選ぶことが重要です。
正直ベースで
意味
正直な気持ちや考えを基にして、物事を進めること。
成り立ち
「ベース(base)」は「基盤」や「基礎」という意味があり、誠実に、正直な立場からスタートすることを意味する。
例文
クライアントには正直ベースで話して、リスクもきちんと伝えよう。
「正直ベースで」を使う際は、相手に配慮を忘れないことが大切です。
あまりに率直すぎると、相手に不快感を与えたり、直接的な言い方が厳しく聞こえることもあるので、バランスを取ることが重要。
また、単なる意見交換の場ではなく、しっかりとした信頼関係がある場面で使用すると、より効果的です。
な行
ネゴる
意味
交渉を行うこと、特に条件や取り決めを決めるために話し合うこと。
成り立ち
英語の「negotiation(交渉)」を略した和製英語。
例文
取引先と価格交渉をネゴって、少しでもコストを下げたい。
「ネゴる」は、交渉を意味する言葉であり、双方の合意を得ることが目的です。
単なる要求や一方的な押し付けではなく、お互いの意見を尊重しながら条件を決める姿勢が求められます。
なるはや
意味
「なるべく早く」の略語で、「できるだけ早く対応してほしい」という依頼をする際に使われる。
成り立ち
「なるべく早く」の頭文字を組み合わせた省略語。
1990年代頃からカジュアルな社内用語として広まり、メールや会話で多用されるようになった。
例文
この資料、なるはやで提出してもらえる?
「なるはや」は便利な略語ですが、相手によっては軽く感じることもあります。
急ぎの仕事やタスクを頼むときに便利ですが、曖昧さがあるため、期限が明確な場合は具体的に伝える方が効果的です。
相手やシチュエーションに応じて、適切な表現を使い分けると良いですね!
は行
ペライチ
意味
1枚の簡単な資料。
成り立ち
「ペラペラの1枚の紙」から生まれた表現。
例文
上司に説明する資料は、ペライチで分かりやすくまとめておいて。
「ペライチ」は、紙1枚にまとめる為、要点をわかりやすく伝えることが求められています。
1枚にまとめるという目的に沿って、情報が整理されているか、重要な点が漏れていないか確認しましょう。
ほぼほぼ
意味
「ほぼ」と同じ意味で、99%やほとんどの状態を強調して表現する言葉。
成り立ち
「ほぼ」を重ねて強調した俗語。
1990年代以降、会話表現として使われるようになり、ビジネスシーンでもカジュアルな場面で耳にすることがある。
例文
プロジェクトの準備はほぼほぼ完了しています。
「ほぼほぼ」は口語的でカジュアルな表現のため、社内のフランクな会話では問題ありませんが、正式な会議や文書では「ほぼ」や「概ね」に置き換える方が適切です。
や行
よしなに
意味
適切に処理する、うまく対応する、任せるといった意味を持つ言葉。
「良いように」「適当に」「上手く」「柔軟に対応してほしい」というニュアンスが含まれている。
成り立ち
「良し」に丁寧語の「なに」を付けた古語表現。
江戸時代から使われており、「よろしく」という意味で使われていた。
例文
取引先への対応は、相手の反応を見ながらよしなにお願い。
「よしなに」は柔らかく依頼したいときや、信頼して任せたい場面で便利です。
ただし、具体的な指示を避ける言葉でもあるので、使い方には注意が必要です。
ら行
リャンメン
意味
両面のこと。主にコピーを取る時に使われる。
成り立ち
麻雀用語の「両面待ち」で「両面」を「リャンメン」と読むことから派生。
例文
この資料はリャンメン印刷にしておこう。
リャンメンは麻雀に由来する言葉であり、公式な場ではなく、内輪な会話で使われることが多いです。
まとめ
令和の新入社員にとって、ビジネスの現場では “昭和・平成のビジネス用語” に遭遇する機会が多いでしょう。
意味を知っておくことで、コミュニケーションがスムーズになります。
言葉の成り立ちを知ると、さらに理解が深まるので、ぜひマスターして活用してください!