「うる覚え」と「うろ覚え」、どちらが正しい表現か迷ったことはありませんか?
この記事では、「うろ覚え」の意味や誤用の理由、類語などを詳しく解説していきます。
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「うる覚え」と「うろ覚え」、正しいのはどっち?
結論から言うと、
正しい日本語は「う ろ 覚え」
です。
「うる覚え」という表現は誤用であり、正式な言葉としては辞書にも載っていません。
しかし、「うる覚え」と言う人も少なくなく、なぜこのような誤用が生まれたのか気になるところですよね。
「うろ覚え」の意味
【うろおぼえ】
確実でない記憶。
※広辞苑(岩波書店 第7版)より
「完全に忘れているわけではないが、自信を持って正確に言えるわけでもない」といったニュアンスが含まれます。
漢字で書くと「疎覚え」
「疎覚え」は「おろおぼえ」とも読み、「うろ覚え」と同じ意味を持ちます。
【おろおぼえ】
ぼんやりした記憶。うろおぼえ。
※広辞苑(岩波書店 第7版)より
例文
- 「昔読んだ本の内容はうろ覚えだ」
- 「彼の電話番号をうろ覚えしていたので間違えてしまった」
といった使い方をします。
うろ覚えの語源
「うろ覚え」の「うろ」は、「空ろ(うつろ)」または「空(うろ)」が由来とされています。
どちらも中が空っぽであることや、ぼんやりしている様子を指します。
そのため、「うろ覚え」は「記憶が曖昧で、しっかりと定着していない覚え方」という意味になったと考えられます。
どうして「うる覚え」と間違われるようになった?
「うる覚え」という誤用が生まれた理由として、「うろ覚え」の「ろ」が「る」に聞こえやすいことが原因と考えられます。
特に日常会話では、発音が曖昧になりやすいため、誤解が広がった可能性があります。
茨城県の一部地域では、方言として「うる覚え」を使っているそうです。
やはり、「うろ」と「うる」の音が似ていることから、置き換わったと言われています。
「おろ覚え」も実は九州の一部で方言として使われていました。
「おろ」には「不完全、たしかでない」と言う意味があり、九州の方言には「おろ」が入ったものも多くあるそうです。
「おろ覚え」よりも「うる覚え」のほうがよく耳にする気がしますが、辞書に載る載らないの違いは「おろ」に意味があるからかもしれないですね。
「うろ覚え」の言い換え
「うろ覚え」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- あやふやな記憶 (意味が曖昧で不確かな記憶)
- ぼんやりした記憶 (はっきりと思い出せない記憶)
- かすかな記憶 (わずかに残っている記憶)
「うろ覚え」を英語にすると?
- vague memory
- faint memory
「あいまいな、はっきりしない」と言う意味をもつ「vague」や、「かすかな、ぼんやりした」と言う意味をもつ「faint」などを使って、「確実でない記憶」を表現します。
まとめ
- 正しい日本語は「うろ覚え」であり、「うる覚え」は誤用。
- 「うろ覚え」とは、忘れているわけではないが、正確ではない記憶のことを意味する。
- 「うろ覚え」の語源は「空ろ(うつろ)、空(うろ)」に由来。
- 「うる覚え」と誤用される理由は、「ろ」が「る」に聞こえやすいことが影響。
普段何気なく使っている言葉でも、改めて調べると新たな発見がありますね!
これを機に、正しい日本語を意識して使ってみてください。