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知識・教養

【「うた」と読む漢字の違い】「歌・唄・詩・謡・唱」の意味と使い分けを例文付きで解説!

「うた」と読む漢字には、「歌」「唄」「詩」「謡」「唱」などがありますが、それぞれ微妙に意味や使い方が異なります。
この記事では、それぞれの漢字の意味や成り立ち、使い分けのポイントを、例文付きでわかりやすく解説します。

辞書には?

「うた」という言葉について、まず辞書ではどのように説明されているのでしょうか。
代表的な国語辞典である広辞苑には、次のような記載があります。

うた[歌]
①声に節をつけて歌う詞。
②音律に合わせて数を整えた詞。
③(5・7・5・7・7の31音から成る)和歌。短歌。やまとうた。
④はやりうた・長唄・小唄・地唄・端唄などの総称。
◇広く一般的に「歌」。三味線を伴奏とする邦楽などの場合には「唄」を使う。近代詩・現代詩の場合に「詩」と書くことがある。
※広辞苑(岩波書店 第7版)より

つまり、「うた」として辞書に載っているのは「歌」のみで、他の漢字である「唄」「詩」「謡」「唱」は、「歌」の説明の中で紹介されるかたちとなっています。

このことからも、「歌」が「うた」の中心的な漢字であることが分かります。
一方で、使う場面やジャンルによっては、より適切な別の漢字が選ばれる場合もあるのです。

「歌」の意味と使い方

意味

もっとも一般的な「歌」は最も広く使われる“うた”の表記です。
現代ではJ-POPから童謡まで、音楽としてメロディーを持った歌全般に使われています。

意味の広がりはとても大きく、

  • 旋律を伴う楽曲
  • 詩情を込めた文学作品(和歌など)
  • 想いや感情を込めた表現そのもの

なども含みます。

日本語の「うた」として最も基本形となる漢字で、「歌う」=感情や思想を声とリズムにのせて表すことを意味します。

「歌」は「音楽的」「文学的」「宗教的」にも使える万能な“うた”です。

成り立ち

「歌」という漢字は、「可」を二つ重ね、その隣に「欠」を組み合わせてできています。
「欠」は口を開けて声を出す人の姿を表し、「口」は神に願いを届ける器を意味するとされます。
また、「可」の上部にある「丁」のような形は木の枝を象徴し、儀式的な要素を表現しているとも言われます。
つまり、「歌」は神に祈りをささげるように、口を開いて声を発する行為を表す文字なのです。

例文

  • 好きな歌をカラオケで歌った。
  • 卒業式で合唱した歌が今でも忘れられない。
  • 子どもたちが楽しそうに歌を口ずさんでいた。

「唄」の意味と使い方

意味

民謡や演歌など、「唄」は、三味線や琵琶などの邦楽器に合わせて歌う日本の伝統的な歌を表す漢字です。

  • 洋楽や現代音楽ではほとんど使われず、小唄・地唄・端唄・長唄など、特定のジャンルで限定的に使われます。
  • また、「唄う」は単純に「歌う」よりも、旋律にのせて語るように歌うイメージが強いです。
    日本らしい“情緒”や“哀愁”のこもった表現にぴったり。
  • 漢字自体も日本で生まれた国字で、中国には存在しません。

「唄」は“和の情感”を表すうた。
日本文化の香りをまとった言葉です。

成り立ち

「唄」は、実は中国には存在しない漢字で、日本で作られた国字(和製漢字)だと考えられています。
その背景には仏教伝来があります。

もともとサンスクリット語(梵語)の「gāthā(ガーター)」という言葉があり、これは「詩句」「節をつけて唱える言葉」という意味です。
これが中国で「伽陀(かだ)」と音訳され、日本に仏教とともに伝わりました。

その「伽陀」や、節をつけて唱える仏教の詠唱(声)などを表すために、日本で「口」と「貝」を組み合わせた『唄』という漢字が作られたのです。
「貝」には楽器や音、価値を象徴する意味があり、「声(口)に音楽性を加える」という意味合いが込められているとされています。

つまり、「唄」は仏教詠唱をルーツに持ち、日本の文化とともに育った漢字なのです。

例文

  • 三味線の音に合わせて唄を披露した。
  • 祖母が昔の唄をよく聴かせてくれた。
  • 民謡大会で美しい唄が響き渡った。

「詩」の意味と使い方

意味

音楽性よりも文学性が「詩」は、感情や思想を言葉で芸術的に表現する文芸の形式を表します。
音楽性のあるものもありますが、旋律は必ずしも必要ではありません。

  • 5・7・5 や 5・7・5・7・7 のリズムにのせた和歌や短歌、漢詩・自由詩・現代詩など、さまざまな形があります。
  • 音楽の“歌”というより、心のうた、言葉の芸術としてのうたに近い存在です。
  • 「詩う(うたう)」という動詞も存在しますが、これは「詩を作る・詩で語る」といった意味で、「歌う」とは少しニュアンスが異なります。

「詩」は“言葉のうた”。
旋律ではなく、言葉そのものの響きで心に届くものです。

成り立ち

「詩」は「言」と「寺」で構成されています。

「言」は、ことばや表現そのものを表す部首です。
一方の「寺」は、もともとは「之」と「寸」から成り立っていて、「寸」は手を意味し、「之」は「進む」「まっすぐに行く」という意味があります。
これらが組み合わさることで、「手足を使ってまっすぐに進む」「意志を込めて届ける」という意味が含まれました。

つまり「詩」は、
心や感情をまっすぐに伝えるためのことば = 芸術的な表現
としての言語を表す漢字として生まれたのです。

例文

  • 自分の気持ちを詩にして書き留めた。
  • 現代詩の朗読イベントに参加した。
  • 美しい風景が、まるで詩のようだった。

「謡」の意味と使い方

意味

能や雅楽など、日本の伝「謡」は、神事や儀式、能楽などにおける“語りと歌を交えた表現”を意味します。
声に節をつけて語るという意味合いが強く、話すことと歌うことの中間のような行為を表す漢字です。

  • 古くは神に捧げる祈りの言葉を節つきで語る「祝詞(のりと)」のようなものがルーツとされます。
  • 現代でも「能の謡(うたい)」「謡曲」など、古典芸能や儀式的な場面で使われることがほとんど。
  • 「謡う」は、「歌う」よりも格式や伝統を感じさせる語りのあるうたという印象です。

「謡」は“神聖で伝統的なうた”。
語りと旋律のあいだを流れる、祈りのような表現です。

成り立ち

「謡」は旧字「謠」の略字です。
その構成は以下のとおりです。

  • 「言」:神への言葉や祈りを意味する部首
  • 「月(にくづき)」:骨付きの肉、すなわち供え物としての肉を表す
  • 「缶(ほとぎ)」:胴の太い土器で、神に食べ物を供えるための器

この3つを組み合わせた「謡(謠)」という漢字には、神の前に肉を盛った土器を捧げ、祈りの言葉をうたう情景が込められています。

その昔「うたう」とは、神への祈りであり、神と人とが通じ合う神聖な行為だったのです。
その神秘的な文化的背景が、「謡」という漢字に今も息づいています。

例文

  • 祖父は長年、謡を習っていて、舞台では堂々とうたい上げる。
  • 能の謡には、静かでありながら力強い情感が込められている。
  • 伝統的な式典で、謡の一節が厳かに唱えられた。

「唱」の意味と使い方

意味

「唱」は、合唱や詠唱など同じ言葉を声に出して繰り返し言う・複数人で声を合わせて言うという行為を表す漢字です。

  • 「唱える」は「うたう」とも読まれますが、これは詠唱や音読、合唱、スローガンのような“唱和”のイメージ。
  • 「読経」「念仏」「標語の唱和」など、宗教的・集団的な行為に使われることが多いです。
  • また、比喩的に「主張を声に出して述べる」という意味でも使われます。

「唱」は “声をそろえて発するうた”。
言葉を強調する「声のかたち」です。

成り立ち

「唱」は会意兼形声文字で、「口」と「昌」からできています。

  • 「口」は声を発する器官。
  • 「昌」は「日」が上下に2つ重なった形で、太陽の光が輝くさまを表します。

つまり、「唱」は口から明るくはっきりと声を出すことを意味していて、言葉を繰り返し発して広げるような“うた”を表す漢字です。

例文

  • 子どもたちは古い唱を楽しそうに口ずさんでいた。
  • 地元に伝わる祭りの唱が、今でも受け継がれている。
  • 唱と太鼓のリズムがぴったり合って、会場が盛り上がった。

まとめ

「うた」と読む漢字には、「歌・唄・詩・謡・唱」の5つがあります。
それぞれの漢字は成り立ちや意味が異なり、使い分けによって“うた”のニュアンスが大きく変わります。

  • 歌:最も一般的で、音楽や気持ちをのせた「うた」。
  • 唄:邦楽や口承文化の「うた」、特に三味線を伴うもの。
  • 詩:心の動きを言葉で綴る「うた」、リズムと言葉の芸術。
  • 謡:神事・芸能に用いられる、神聖で旋律的な「うた」。
  • 唱:声に出してとなえる、明るく力強い「うた」。

それぞれの漢字がもつ歴史や背景を知ることで、「うた」に込められた意味や表現の深さが見えてきます。
文章や歌詞を書くとき、場面に合った漢字を選べると、伝えたいことがより豊かになりますよ。