ホルンを吹いていると、仲間内で『私、下吹きなんだよね~。』とか『俺、上吹き!』なんて会話が飛び交ったりすること、ありませんか?
因みに私は下吹きです(笑)。
と言うより、上吹き≒高音域を吹くのが得意、下吹き≒低音域を吹くのが得意、なんて固定概念はあまり持たずに、どの音域も満遍なく、吹けるに越したことはないですよね。
だって、その方が吹ける曲の幅が広がるのは確実なわけだし。
とはいえ、なかなかどの音域も満遍なく吹けるようになるのは、難しいです、永遠のテーマかもしれません。
そこで、私が練習中の、少しでも音域を広げる為の練習方法を、フルダブルホルンで練習することを前提に紹介します。
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ホルンの音域ってどれぐらい?
ホルンには、『ここからここまで』という明確な音域はありません。
ただ、目安としては実音、ピアノの真ん中のドより2オクターブ下のドより2音下のラ位が最低音域だとすると、最高音域は真ん中のドより1オクターブ上のドより4音上のファ位までと言われています。
それ以外の音域は、個人の力量次第では出なくもないですが、もうセミプロかプロの世界なので、ここでは敢えて触れません(笑)。
基礎からの初心者
恐らく、ホルンを始めるのは、小学校高学年から中学生の頃が一番多いのではないでしょうか?
ホルンを始めたばかりの初心者にとっては、どれくらいまでの音域が吹けるのがベストかと言うと、ズバリ『1オクターブ』です。
1オクターブあれば、簡単な曲ならとりあえず吹く事ができるからです。
逆に、1オクターブも吹けなければ、簡単な曲すら吹けないので、初心者でもまずは1オクターブ吹けるようになる事を目指してみましょう。
音域としてはとりあえず、チューニングB♭を中心に1オクターブ吹ければ問題ないかと思います。
因みに、B♭管でならば、1オクターブ吹けるようになるまでにそれほど時間はかかりませんよ。
ただ、F管でも1オクターブ吹けるようになるよう、練習は必要なので、それは後ほど紹介しますね。
高校生
高校生だと、経験による個人差が大きいです。
コンクールで地区大会金賞・全国大会などを目指している学校で吹いている場合は、Horn in Fで書かれた楽譜だと、Low DからHi C位まで出せるのが理想的だとは思います。
と言うのも、そのレベルの学校だと、自由曲や定期演奏会の選曲もハイレベルになると思うので、より幅広い音域に対応できる必要があるからです。
そこまでのレベルの学校じゃないよ、という場合は、まずは個々が吹ける範囲で構いません。
というのも、練習するうちに否が応でも段々吹ける範囲は少しずつ広がっていくはずだからです。
社会人
社会人の場合は様々です。
コンクールの頂点を目指している団体もあれば、緩~く活動している団体もあります。
各団体に所属しているメンバーは、自分の目的に合った団体を選んで所属しているわけなので、高みを目指している社会人ならば、それ相応の音域を出せるはずです。
緩~く活動している社会人でも、それまでの経験が異なるので、ハイレベルにブイブイ吹ける方もいれば、若い頃は吹けたけど、年齢の衰えに比例して吹けなくなったという方もいるなど、ひとくくりにはできないのが、社会人のホルン吹きの事情です。
音域を広げる3つのメリット
- より多くの曲が、吹けるようになる。
- ホルンらしい、豊かな音が出せるようになる。
- ピッチが安定する。
1は言うまでもなく、高音域でも中・低音域でもアンブシュアは変わらないので、より広い音域を吹ければその分、吹ける曲のレパートリーも増えます。
2は、音域を広げる練習をする過程で、音を吹きこむので、ホルンらしい豊かな音が出せるようになるんです。
3のピッチ、音程が安定するというのは2と関係しますが、音を吹きこむことで音に安定感が増すので、その分、ピッチも安定しやすくなるんです。
仮に結果として、音域がなかなか広がらなくても、練習の過程だけでもメリットはこんなにもあるんですよ。
音域を広げるための練習方法
ただ、皆が皆、こんなに広い音域を吹ける必要はないと私は思っています。
最初にお話しした『上吹き』『下吹き』がホルンには存在してもいい、いや、寧ろ存在した方が良いと思うからです。
だって、1人でこんなに広い音域を跳躍して吹くのは、あまりにも唇に負担をかけ過ぎじゃないですか!
専門的に学んだプロなら別として、アマチュアの場合は、無理して音域を広げるよりは、いかにアンブシュアを保ちながら無理のない綺麗な音を出すか、ということを重視した方が良いと思うんです。
[blogcard URL=”http://choitame.com/horn-reembouchure/”]
とはいえ、何故かホルンパートってどの学校・団体も『有り余って仕方ないんですよ』という話をあまり耳にした事がありません(笑)。
つまり、ホルンパートが2人しかいないとか、最悪、1人しかいない!といった場合もあるんです。
そんな時に、『いや、僕、上しか吹けないんで。』とか『私、下しか吹けないんで。』といった言い訳は通じませんよね。
その為に、無理のない範囲で今吹ける音域より、少しでも音域を広げる練習方法を紹介しますね。
基礎からの初心者
よく、教則本などでは、『ロータリーを1つも押さずに開放の状態(=F管)でド・ミ・ソ・ドと安定した音程で吹いてみましょう』とあるかもしれません。
確かに、F管も使いこなすようになる為には、この練習はとてもベーシックで的を得た、基礎中の基礎練習です。
ただ、この練習法、初心者には少々きついんです。
というのも、F管は長い!
つまり、その分、息を沢山吹き込まないと、開放状態で安定した音程なんて吹けないんです。
私はこの練習法が面白くなかったので、ちょっと遠回りになっちゃいましたが自分なりに、これなら続けられる!と思った練習方法で練習しました。
それはまず、Horn in FでチューニングB♭より下の音を吹ける範囲ところまで、F管で安定した音で吹いてみることです。
運指が分からなければ、運指表を見ながらでも構いません。
ただ、この練習も先程の練習と同じとあまり変わらない位、きついです。
何が違うのかというと、より低い音域を練習することで、楽器に息を吹き込む練習ができる為、後々、音域を広げる練習がしやすくなると同時に、ホルンらしい深みのある音が出せるようになるんです。
ただ、初心者にとっていきなりF管で練習するよりは、少し吹きやすいと思われるB♭管で練習する方が、少しでもハードルは低いはずです。
これができれば、開放でド・ミ・ソ・ドは楽に吹けるようになりますよ。
初心者以上
F管開放でド・ミ・ソ・ドをリップスラーで上がったり下がったり、練習してみましょう。
最初はド・ミ・ド・ミから最終的にはド・ミ・ソ・ド・ソ・ミ・ドの跳躍がリップスラーでできるようになるといいですね。
それができたら、B♭管も使って、半音ずつ下がって同じように跳躍のリップスラーの練習です。
要は、音域を広げるにはリップスラーが一番有効な練習方法だと思います。
これは、慣れるまでは時間もかかるし跳躍できる範囲も狭いです。
ただ、基礎錬の時に毎回必ず続けていれば、必ず少しずつだけど音域が広がっていくのが実感できるのは、私も実感済みなので、間違いないですよ。
まとめ
- ホルンの音域はとても広い。
- 音域を広げることができると、豊かな音や安定した音が出せるようになる。
- 音域を広げるには、リップスラーが一番有効な練習方法。
大切なのは、曲に出てくる音域ばかり練習するのではなく、やはり毎日の基礎錬の積み重ねです。
ゆっくりで構わないので、音がしっかり当たるまで、練習して少しずつでも音域が広がるよう練習してみてくださいね。