もめごとなどにうまく決着がついた時、「まるくおさまる」と言いますね。
こんな時の「おさまる」には、どの漢字を使うのでしょう。
「おさまる」には、「収まる」「納まる」「治まる」など、いろいろな漢字があります。
今回は、いろいろな「おさまる」の意味や違いについて、調べてみました。
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収まるの意味・使い方
収まるの意味は、次のようになります。
1)物の中や、決まった枠の中に入ること。
2)問題が解決すること。納得すること。
3)混乱した状態が、もとのように整うこと。
例:皆さんのメッセージをビデオに収めて贈ります。
例:予定外の支出もあったが、なんとか予算内に収まりそうだ。
例:そんな謝り方では、怒りも収まらないよ。
例:テーブルの下などに隠れて、揺れが収まるのを待ちましょう。
納まるの意味・使い方
納まるの意味は、次のようになります。
1)あるべき場所や、決まった枠の中に入ること。
2)元の場所に落ち着くこと。
3)ふさわしい地位や立場に就くこと。
4)金品や税が、正しい相手に渡されること。
例:結局、元の鞘に納まったようだ。
例:後を継いで、社長の座に納まることになっている。
例:住民税を納めてきた。
例:今年もようやく仕事納めだ。
治まるの意味・使い方
治まるの意味は、次のようになります。
1)問題のない状態になること、静まること。
2)統治すること。
例:台風の風雨も午後には治まるでしょう。
例:このままでは、腹の虫が治まらない。
例:彼は王になり、亡くなるまで国を治めた。
収まる・納まる・治まるの違いは?
「収まる」と「納まる」は、言葉の意味がよく似ています。
合わせて「収納」という熟語になるように、どちらにも、中に入る、しまうといった意味がありますが、「納まる」は、より、本来あるべき場所に入れたり、必ず渡すことになっているもの(税金など)を渡す時などに使います。
「治まる」の「治」は、治療や治癒、政治や治安といった熟語に使われますね。
身体の痛みや病気の症状が治った時、国や天下を統治する時には、「治める」を使いましょう。
まとめ
- 収まるは、
1)物の中や、決まった枠の中に入ること。
2)問題が解決すること。納得すること。
3)混乱した状態が、もとのように整うこと。 - 納まるは、
1)あるべき場所や、決まった枠の中に入ること。
2)元の場所に落ち着くこと。
3)ふさわしい地位や立場に就くこと。
4)金品や税が、正しい相手に渡されること。 - 治まるは、
1)問題のない状態になること、静まること。
2)統治すること。
では、もめごとがまるくおさまる時の「おさまる」には、どれを使うのでしょう。
この場合は、「収まる」の2番目の意味、「問題が解決すること」に当たりますので、まるく収まると書くのが一般的です。
しかし、もめごとが収束した、というよりも、もめごとをうまく鎮めた、という気持ちが強い時は、まるく治まると書いても誤りではありません。
同じように、例文に挙げた、怒りや腹の虫なども、すっきり解決したという場合は「収まる」、手をかけて鎮めたという場合は「治まる」を使うことがあります。
微妙なニュアンスで使い分けることができる、日本語らしい言葉なんですね。