「気が置けない人」ってどんな人のこと?
気をつかわないといけない、あまり親しくない人?
気をつかわなくてよい、とても親しい人?
どちらでしょうか。
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気が置けない?気の置けない?
「気が置けない」と「気の置けない」の2種類の表記を目にしますが、どちらかが誤っているわけではなく、どちらも使える表現です。
「が」も「の」も、主語を表す助詞で、「気が」=「気の」と考えられるからです。
たとえば、
「私が買った本」=「私の買った本」
「風が強い日」 =「風の強い日」
同様に、「気が置けない」=「気の置けない」です。
気が置けないの意味・語源
「気が置けない」は、「遠慮する必要がない」「気をつかう必要がない」ということです。
これには、違和感を持つ人が多いかもしれません。
どうして「気が置けない」=「遠慮する必要がない」になるのでしょうか。
まず「気が置けない」の反対の、「気が置ける」という言葉を考えます。
「気が置ける」の「置ける」は、可能の意味の「置くことができる」ではありません。
この「置ける」は自発の、「自然と、~してしまう」という意味で用いられています。
したがって「気が置ける」は「自然と気を置いてしまう」という意味になります。
「気を置く」という言葉は辞書にはありませんが、よく似た「心を置く」は、「打ち解けない・遠慮する」という意味で掲載されています。
そこから考えると、「気が置ける」=「自然と遠慮してしまう」という意味です。
打ち消して、「気が置けない」=「遠慮しなくてよい」となります。
気が置けないの使い方・例文
正しい使い方
「遠慮がいらない」「緊張しない」という意味で使うのが正しい使い方です。
例:彼は幼なじみで、気の置けない友人だ。
間違った使い方
「気を許すことができない」「油断できない」という意味で用いる人がいますが、これは誤りです。
平成18年度の文化庁の「国語に関する世論調査」で、「気が置けない」の意味を尋ねたところ、正しい意味(相手に遠慮をしなくてよい)を選んだ人が42.4パーセントで、誤りの意味(相手に遠慮しなくてはならない)を選んだ人が48.2パーセントでした。
誤りの意味で解釈する人の方が多いという結果だったのです。
まとめ
- 「気が置けない」「気の置けない」とは、「気をつかう必要がない」「遠慮がいらない」という意味
- 「気を許すことができない」「油断できない」という意味ではない
「気が置けない」という言葉は、雰囲気で意味をとらえてはいけない言葉です。
感覚的に考えると、「気が置けない」の「ない」に引っ張られて、つい「信用できない」というニュアンスでとらえてしまいますから。
とても親しい友人を思い描いて、「あの人は、気が置けない友人だ」と言ってみれば、忘れることはないでしょう。