
「駅前に新しいフレンチレストランができたね。一度行ってみたいな」
「高級過ぎて、お高そう。敷居が高いよ」
「確かに、そうだね…」
こんな会話をした経験はありませんか。
でも、「敷居が高い」って、「高級すぎて無理!」「ハードルが高い!」ってことじゃないんですよ。
▼目次(クリックで見出しへジャンプ)
敷居が高いの意味・由来
「敷居」とは、家の障子や引き戸を開け閉めするために敷く横木。
住宅の引き戸や障子を受ける部分に、滑りやすくするための溝がついている横木がありますよね、アレが敷居です。
今回は室内のものではなく、家の外と内を分ける部分、つまりは門や玄関の戸の敷居を考えてください。
意味
「敷居が高い」とは相手に不義理なことをしていて、その人の家に行きにくいということです。
たとえば、この前、友人の家の花瓶を割ってしまったけど、謝らずに逃げて帰ってきたとか、お金を借りて「すぐ返すね」と約束していたのに、まだ返していないとか、誰かに対して「しまった!あの人、きっと怒っている…」と思うことがあるとします。
そのような相手の家に行こうとすれば、「うーん。行きにくいなあ」と感じてしまいます。
そのような気持ちが「敷居が高い」ということです。
由来
玄関の敷居は、家の造りによっても違いますが、せいぜい数㎝、高くても10㎝くらいですから、またいで家の中に入るのに、何も邪魔になりません。
でも、もし、その敷居の高さが30㎝あったら?
50㎝あったら?
1メートルあったら?
…入りにくいですよね。
もちろん現実にそんなに高い敷居はありませんが、顔向けできない人に会う場所に行こうとしたら、心理的に、とても高い敷居があるように感じませんか?
「敷居が高い」とは、そのように、気持ちの上で、高い高い敷居があって入りにくいという意味なのです。
敷居が高いの使い方・例文
正しい使い方
何らかの負い目がある相手に、会いに行きにくい気持ちを表現したのが「敷居が高い」です。
迷惑をかけた人やすべきことをしてなかった人に、素知らぬ顔で「はーい、こんにちは」なんて言いにくいですものね。
例:あの人が入院した時、お見舞いにも行かなかったから、いまさら会いに行くのも、後ろめたくて、敷居が高いなあ。
間違った使い方
資格などが「自分には難しい」という状況のときにまで、「敷居が高い」という使い方をする人がいるのですが、場所が「高級すぎて入りにくい」という意味で使うのと同様、すべて誤用です。
× 社長令嬢を恋人にするなんて、無理だ。僕には、敷居が高いよ。
× ファイナンシャルプランナーの資格なんて、私には、敷居が高すぎるわ。
敷居が高いを別の言葉で言い換えるなら?
「高級すぎたり、難しすぎたりして、無理!」という誤用の意味を別の言葉で言い換えるなら、「上品すぎる」「近寄りがたい」「ハードルが高い」「レベルが高すぎる」「格式が高すぎる」「分不相応」「手が届かない」などの表現が適当でしょう。
まとめ
- 「敷居が高い」とは、相手に不義理なことをしていて、その人の家に行きにくいということ。
- 自分には高級過ぎる・難し過ぎるという意味ではない。
私にも、敷居の高い場所が、いくつかあります。
「あの時、ああすればよかった(ああしなければよかった)」
うずくような心の痛みとともに、そう思います。
誰も、人生に後悔したくはありません。
でも、後悔のない人生なんて、もしかしたら、不可能なのかもしれませんね。