「話のさわり」という形でよく使われる「さわり」という言葉ですが、正しい意味や語源などは知っているでしょうか。
語源は江戸時代にさかのぼるようですが、意外な成り立ちがあったのでご紹介したいと思います。
「さわり」の語源と意味
さかのぼること江戸時代、竹本義太夫が創始した浄瑠璃の流派の一つである義太夫節で用いられていた言葉です。
「さわり」はもともと「触ること」の意味から「他の節に触っているところ」を意味するようになりました。
その影響で、義太夫節の「聞かせどころ」「聞きどころ」に当たる言葉になり、それが「話の中心となる部分。聞かせどころ。」といった意味も含まれるようになったようです。
以上から、「さわり」とは「話の中心となる部分」を指す言葉であることがわかりますね。
国語に関する世論調査での「さわり」について
平成19年度の「国語に関する世論調査」では、「話のさわりだけ聞かせる。」という例文を挙げて「さわり」の意味を尋ねています。
国語に関する世論調査結果
回答 | 平成19年度(%) |
①話などの要点のこと | 35.1 |
②話の最初の部分のこと | 55.0 |
①と②の両方 | 2.7 |
①と②とは全く別の意味 | 0.2 |
わからない | 7.0 |
結果を見ると、前項であげた「さわり」の本当の意味ではない「話の部分の最初のこと」という意味だと考える人が半数を超えていることがわかります。
この記事を書いている筆者自身、20歳を超えるまで半数以上の人たちと同じ考えを持っていました。
「さわり」から「触る」や「触れる」を連想してしまい、「表面」や「外側」というイメージを無意識につけてしまっていたのかもしれませんね。
そのため「話の最初の部分」や「曲の最初の部分」というイメージが自然とついて行ってしまったと考えられます。
まとめ
- 語源は江戸時代の竹本義太夫が創始した浄瑠璃の流派の一つである義太夫節。
- 「触ること」の意味から「他の節に触っているところ」を意味するようになった。
- 義太夫節の「聞かせどころ」「聞きどころ」に当たる言葉。
- 「さわり」とは「話の中心となる部分」を指す言葉。
- 国語に関する世論調査の結果は「話の部分の最初のこと」という意味だと考える人が半数以上。
皆さんも無意識のうちに言葉のなんとなくのイメージから、本当の意味とは違った意味で覚えてしまっている言葉があるかもしれません。
気が向いたときに意味のあやふやな言葉を調べてみるのも良いかもしれませんね。
今回は、「さわり」の意味についてご紹介しました。