「失笑する」とはどのような場面で使われる言葉でしょうか?
「笑い」を「失う」ので、「笑えないくらい呆れてる」状態だと思っていませんか?
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「失笑」の意味
広辞苑(岩波書店 第7版)で意味を調べてみました。
(笑ってはいけないような場面で)おかしさに耐えきれず、ふきだして笑うこと
なんと、「笑い」を「失う」どころか、(思わず)吹き出して笑っている様子を意味していました。
「失笑」についての「国語に関する世論調査」
「失笑」の意味の理解度を実際の数字でも見ていきます。
平成23年度の「国語に関する世論調査」で、「彼の行為を見て失笑した。」という例文を挙げ、「失笑する」の意味を尋ねたところ、結果は以下のようになりました。
回答 | 平成23年度(%) |
---|---|
①こらえ切れず吹き出して笑う | 27.7 |
②笑いも出ないくらいあきれる | 60.4 |
①と②の両方 | 2.7 |
①と②とは全く別の意味 | 4.1 |
分からない | 5.2 |
本来の意味である「①こらえきれず吹き出して笑う」を誤った意味である「②笑いも出ないくらいあきれる」という意味が上回ってます。
また、年代別の結果でも、全年代で本来の意味より誤った意味を選択した方の割合が上回っています。
ちなみに
英語では?
複数の辞書で調べてみたところ、「失笑」の本来の意味に最も近い表現は、以下の通りでした。
- burst out laughing
- cannot help laughing
どちらも「思わず笑う」と言う意味になります。
ネットで検索すると、中には間違った意味の「あきれた笑い」や「苦笑」の意味合いが強い例文などが紹介されている場合があったので、注意が必要です。
何故間違った意味が浸透した?
そもそも「失笑」には「あきれる」のような相手を馬鹿にしたような意味合いはありません。
それにも関わらず、「あきれる」や「苦笑・冷笑」などネガティブな意味合いで使われるようになったのはやはり「失」と言う漢字が「失う、失敗する」と言うネガティブな意味に結びつくからと考えられます。
しかし、「失」には「うっかり出してしまう」と言う意味もあり、これが「うっかり出てしまった笑い」→「失笑」のとなりました。
まとめ
- 「失笑」=「思わず笑ってしまう様子」
- 「失笑」には本来、相手を馬鹿にするようなネガティブな意味合いはない。
今回は、「失笑」の意味についてご紹介しました。