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知識・教養

【どっちを使う?】「攻める」と「責める」の違い

日本語には、同じ読み方をする言葉でも意味が異なるものがあります。
「せめる」もその一つです。
日常生活やビジネスの場面で「攻める」と「責める」を間違えると、伝えたいニュアンスが変わってしまいます。
この記事では、それぞれの意味や使い方、英訳の違いも含めて解説します。

「攻める」とは?

意味

身をもって相手との間隔をせばめ身動きができないようにする意。
①寄っていって追いつめる。つめ寄る。
②敵に近寄って戦いをしかける。攻撃する。
広辞苑(岩波書店 第7版)より

「攻める」とは、敵や相手に向かって攻撃することを表す言葉です。
本来は軍事用語で、城や陣地を奪うために攻撃することを指していました。
そこから転じて、スポーツやビジネスの場面でも「積極的に挑戦する」「果敢に行動する」といった前向きな意味で使われるようになっています。

また「攻めの姿勢」という表現があるように、リスクを恐れずに挑戦する姿勢そのものを指すこともあります。
単に戦うだけでなく、「戦略をもって前に出る」イメージが強い言葉です。

例文

  • 彼は相手チームの弱点を見つけて攻めた。
  • 新しい市場に果敢に攻め込む企業戦略だ。
  • ピッチャーが積極的に勝負球で攻める。

「責める」とは?

意味

①相手の過失や非行などをとがめる。なじる。
②苦しめる。悩ます。
③うながす。せき立てる。せがむ。
④はげしく追及する。拷問する。
広辞苑(岩波書店 第7版)より

「責める」とは、相手や自分の過ち・失敗を取り上げて非難したり、追及したりすることを表す言葉です。
対象が「過ち」や「罪」である点が大きな特徴です。

この「責め」は「責任」とつながる字で、責任を問う行為、つまり「何かを咎める」意味が含まれます。
そのため「自分を責める」といえば、自分自身に対して罪悪感を抱いて追い詰めることを指しますし、「友人の過ちを責める」といえば、相手の行為に対して非難や叱責を向けることを表します。

一般に「責める」にはネガティブな響きがあり、相手を精神的に追い詰める場合に使われます。
単なる注意や指摘よりも強いニュアンスで、「厳しい言葉を浴びせる」「責任を突きつける」といった行為を伴うことが多いです。

例文

  • 遅刻した彼を責めるのはやめよう。
  • 失敗を責めるより次に活かす方法を考えたほうがいい。
  • 彼女は自分の失敗をいつまでも責めている。

「攻める」と「責める」の使い分けポイント

攻める 責める
対象 相手や課題、状況、戦場や試合など 自分や他人の過ち・失敗など
意図・目的 成果や変化を生む、挑戦する、心理的駆け引き 反省や責任を自覚させる
行動の性質・印象 積極的・前向き・挑戦的
(場合によっては圧迫や攻撃の印象もあり)
追及的・批判的・抑圧的
物理/精神の特徴 物理的攻撃や戦略的行動、心理的働きかけも含む 精神的な非難や追及

精神面での「せめる」の違い

「せめる」は、物理的な行為でも精神的な行為でも使われますが、中でも精神的な行為は文脈によって「攻める」と「責める」の意味が大きく変わります。

攻める

心理戦や駆け引きなどで、相手の心に働きかける戦略的行為を指すことがあります。
(例) 相手の心を揺さぶるように攻める

👉 非難ではなく、挑戦・駆け引きとしての働きかけ。

責める

相手や自分の過ちを追及して非難することを指します。
(例) 自分を責める、友人の過ちを責める

👉 心を苦しめ、精神的に追い詰める。

💡 物理的と精神的の線引き
  • 物理的な攻撃や行動 → 基本的に「攻める」を使う
  • 精神的・心理的な働きかけ → 文脈で「攻める」か「責める」を判断
    – 「攻める」 → 心理戦・駆け引き
    – 「責める」 → 非難や罪悪感を向ける

このように、物理的か精神的かを意識するだけで、「せめる」の適切な使い分けがぐっと分かりやすくなります。

ポジティブに使える「攻める」とネガティブな「責める」

「攻める」のポジティブな使い方

「攻める」はもともと戦いや競争の場で使われる言葉ですが、現代では「果敢に挑戦する」「新しいことに踏み込む」といったポジティブな意味合いでも使われます。

  • ファッションで攻める (大胆で斬新なスタイルに挑戦する)
  • 攻めの姿勢 (前向きに取り組む姿勢)
  • 新しい企画で攻める (積極的に挑戦する)

つまり「攻める」には、単なる攻撃ではなく挑戦的でエネルギッシュなポジティブさが含まれることがあります。

「責める」のネガティブな性質

一方「責める」は、基本的にネガティブな意味しか持ちません。

  • 遅刻を責める (人を非難する)
  • 自分を責める (罪悪感を抱く)
  • 良心に責められる (苦しみを感じる)

「責める」が褒め言葉として使われることはなく、常に心を追い詰める作用を含んでいます。

  • 攻める
    → ネガティブ(攻撃する)にも、ポジティブ(挑戦する)にも使える。
  • 責める
    → 基本的にネガティブ(非難する・苦しめる)にしか使われない。

この違いを知っておくと、同じ「せめる」でも文脈ごとのニュアンスを間違えずに表現できます。

英語で表すと?

「攻める」の英訳

主な訳語:

  • attack
    攻撃する、襲うと言う意味。
    物理的な攻撃(軍事、スポーツ、動物など)から、比喩的な攻撃(議論、批判、問題解決)まで幅広く使える。
    直接的でストレート。相手に対して力を加えるイメージ。
  • go on the offensive
    攻勢に出る、積極的に攻めると言う意味。
    軍事やスポーツなどの「守りから攻めへ切り替える」場面でよく使われる。ビジネスや日常会話でも比喩的に使われる。
    戦略的で計画的。単なる攻撃ではなく「積極的に仕掛ける」「主導権を取る」という前向きなニュアンスがある。

attack は万能で、「攻撃」全般に使える便利な言葉。ただしネガティブな響きが強め。
go on the offensive は「攻めに転じる」「積極策に出る」という意味で、ポジティブな挑戦や戦略的な動きを表すのに適している。

例文:

  • The team attacked the opponent’s weak point.
    → チームは相手の弱点を攻めた。
  • The pitcher attacked the batter with a fastball.
    → ピッチャーは速球で打者を攻めた。
  • The team decided to go on the offensive in the second half.
    → チームは後半から攻勢に出ることにした。
  • The company went on the offensive by launching a new product.
    → その会社は新製品を投入して攻めに転じた。

「責める」の英訳

主な訳語:

  • blame
    何か悪い結果や失敗の「原因」を誰かに帰すること、責任を負わせること。
    「あなたのせいだ」という 責任の所在を指摘する色合いが強い。
    日常会話からフォーマルな場面まで幅広く使える。特に「悪い結果の原因」を指摘する時に使う。
  • criticize
    相手の言動や物事の欠点を指摘して批判すること。
    「正しくない」「良くない」と評価する行為。必ずしも責任追及ではなく、判断や意見の形での批判。
    日常会話よりも、文章や議論・ニュース・評論などでよく使われる。
  • accuse
    「〜を非難する」「〜を告発する」
    かなり強い表現で、道徳的・法的に『罪を問う』色合いがある。責めるの中でも「糾弾する」「罪に問う」に近い。
    日常会話でも出ますが、ニュース・法廷・社会問題の文脈で特に多い。

日本語でのニュアンス

  • 友達に遅刻を責められた
    → blame が自然 (責任を問う、原因を指摘、日常的)
  • 政策を責める
    → criticize が自然 (批判する、欠点を指摘、評論や議論寄り)
  • 彼を不正で責める/告発する
    → accuse が自然 (糾弾する・告発する、罪を問う、法的・道徳的に強い)

例文:

  • Don’t blame yourself too much.
    → 自分をあまり責めすぎないで。
  • The media criticized the company for its lack of transparency.
    → マスコミはその会社を透明性の欠如で責めた。
  • She accused her colleague of spreading false rumors.
    → 彼女は同僚が虚偽の噂を広めたと責めた。

まとめ

「攻める」と「責める」は同じ読みですが、意味の方向性がまったく異なります。
「攻める」は試合や仕事などで相手や状況に働きかけて成果を狙う行為を指し、ときには心理戦や戦略的な挑戦にも使われます。
一方「責める」は、相手や自分の過ち・失敗を問い詰めたり、非難したりする精神的な行為を表します。

使い分けに迷ったときは、
➡️ 状況や課題に立ち向かうなら「攻める」
➡️ 過ちや責任を問いただすなら「責める」
と考えるとわかりやすいでしょう。

さらに、「攻める」には前向きな挑戦のニュアンスがあり、「責める」には批判的・抑圧的なニュアンスが強い点も覚えておくと安心です。