「事業をおこす」という場合「起こす」と「興す」どっちを使えばいいか難しいですね。
二つの単語の違いはなんでしょうか。
今回は、「起こす」「興す」の違いについて調べてみました。
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起こすの意味・使い方
「起こす」と聞いてどんな意味を思い浮かべましたか?
一番最初に思い浮かべるのは「朝子供を起こす」というような意味でしょう。
ですが、「起こす」には色々な意味があります。
本当はもっと細かい意味を分けることができるのですが、大きく分類すると
①倒れているものを縦にする・目を覚まさせる
例:体を起こしてテレビを見る。
②物事・事態・動きなどを生じさせる
例:台風で地滑りを起こした。
例:ちょっとした不注意で事故を起こしてしまった。
③新しい物事を始める
例:ビジネスを起こす
という意味があります。
他にも「畑を起こす」「原稿を起こす」「やる気を起こす」などといった使い方もできます。
このように「起こす」はたくさんの意味を持った言葉なのです。
興すの意味・使い方
「興」この漢字には「さかん」という読み方もあります。
この読み方の通り、再び盛んにするという意味があります。
例:没落していた家を興すために努力する。
もう一つ使う場合があります。
それは「新しい物事を始める」場合です。
これは「起こす」の意味の中の3つ目と同じですね。
ですから「事業をおこす」は「起こす」「興す」どちらも使えます。
例:新事業を興す/起こすためには、人材も金も足りない。
起こす・興すの違いは?
まず一番目につく違いは、送り仮名です。
「起こす」は「こ」を書かなければなりませんが、「興す」は「こ」を書きません。
どうしてこのような違いがあるのでしょうか。
違いはペアになる自動詞があるかどうかです。
「起こす」には「起きる」という自動詞があります。
子どもが朝7時に起きる。
朝7時に子供を起こす。
「を」を使うのが他動詞・使わないのが自動詞です。
「町をおこす」とは言いますが「町がおきる」という言葉はありませんから、「興す」の場合は「こ」を書かないんですね。
このような言葉は「別れる」「分かれる」「抑える」「押さえる」などがあります。
「起こす」には上で挙げたようにたくさんの意味がありますが、「興す」の意味は「ふたたび盛んにする」と「新しい物事を始める」の2つだけです。
「事業・会社をおこす」という場合でもどちらを使っても間違いではありません。
つまり「起こす」は広い意味を持っていて「興す」は限定的な意味を持っているということになります。
まとめ
「起こす」の意味はたくさんあります。
どちらも使えるケースもありますが、「興す」しか使えないケースは「町興し」ぐらいです。
ですから、基本的には「起こす」を使ったほうが間違いが少ないでしょう。
ちなみに「風を起こす・電気を起こす」と書きますが、火の場合には、「火を熾す」という漢字を使いますので、気を付けてください。