「あー、また雨。いやねえ」と、洗濯物を室内干ししていたら、子どもが言いました。
「ママ、なぜ雨ばっかりなの?」
「それはね、梅雨だからよ」
「つゆって、なあに?」
「雨がいっぱい降る時よ」
「どうして、いっぱい降るの?」
……困ってしまいました。
子供に梅雨を説明する時は何と言えばいいのでしょう?
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梅雨とは?
梅雨(ばいう・つゆ)とは、6月から7月中旬にかけて見られる雨期のこと。
日本では、北海道を除く地域に梅雨が見られますが、朝鮮半島南部や中国南部から長江までの地域でも、梅雨は見られます。
何で梅の雨?
なぜ「梅」の雨と書くのか、諸説あります。
梅の実が熟す頃だからという説。
湿気でカビが生えやすいから「黴雨(ばいう)」(「黴」=カビ)と呼ばれていたが、カビでは語感が悪いので、同じ音で季節にも合った「梅」の字が当てられるようになったという説。
「毎」日のように雨が降るから「梅」雨だという説。
何で「つゆ」と読む?
中国から伝わったときは、「ばいう」でしたが、江戸時代頃から「つゆ」と呼ばれるようになりました。
「露(つゆ)」から来たとも、梅の実が潰れる(つぶれる)頃だから「潰ゆ(つゆ)」と呼んだとも言われます。
梅雨は何月から何月?
6月から7月中旬にかけての、雨や曇りの日が多く続く時が梅雨です。
現在の暦の6月は昔の暦では5月ごろにあたるから、「五月雨」は「梅雨」のことで、「五月晴れ」は「梅雨の晴れ間」のことだと、「五月晴れ」の記事で読みましたね。
子供に梅雨をわかりやすく説明してみる
雨が降る理由
冬に使うストーブの周りの空気は、暖かく、上の方に昇っていきます。
一方、クーラーから出てくる空気は冷えていて、下の方に向かいます。
このように、空気には、暖かいものや冷たいものがあって、暖かい空気は上に、冷たい空気は下に向かう性質があります。
大空の中にも、暖かい空気のかたまり(暖気団)と冷たい空気のかたまり(寒気団)があります。
暖気団と寒気団がぶつかる境目は「前線」と呼ばれるのですが、そこでは、暖かい空気が上に向かい、上昇気流ができて雲が作られ、雨が降りやすくなります。
なぜ6月に日本で雨が降る?
さて、5月ごろ、日本の東南の太平洋上には「小笠原気団」といわれる暖気団ができ、北海道のずっと北の方には「オホーツク海気団」といわれる寒気団ができます。
この二つの気団が、6月から7月中旬にかけて日本の上空でぶつかり合うのですが、どちらも同じくらいの強さなので、押し合ったまま、身動きがとれなくなってしまいます。
ですから、この二つの気団(小笠原気団とオホーツク海気団)の境目の「前線」は、同じ所にとどまることになり、雨が降り続けます。これが梅雨です。
しかも、二つの気団はどちらも湿気をたくさん含んでいるので、雨の量も多いのです。
ちなみに、なかなか動かない前線のことを「停滞前線」といいますが、日本の梅雨の時期にできる停滞前線のことは、特に「梅雨前線」とも呼ばれます。
7月中旬ごろ、オホーツク海気団が弱まってくるため、梅雨前線が中国の北部の方に移動し、梅雨が明けます。
まとめ
- 「梅雨」とは6月から7月中旬の雨期のこと。
- オホーツク海気団と小笠原気団のせめぎ合いで生まれる停滞前線のために雨が続く。
- 「梅雨」と書く理由は、梅の実が熟す頃だからという説やカビの「黴」が転じたという説などがある。
「梅雨」はジメジメして嫌ですが、農家の人にとっては、稲作に必要な水をもたらすもの。
都市で暮らす人にとっても、カラ梅雨は夏の水不足をもたらしますから、やはり梅雨は大切なものだということも合わせて教えてあげたいですね。