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知識・教養

精算とは?~SES業界で使われる精算について解説~

SES業界では「精算」「精算幅」という言葉をよく使います。
「精算」「精算幅」きちんと理解していないかも…という方に具体例を記述しながら解説していきます。

精算とは

精算とは、準委任契約において支払金額を計算することです。

具体的には…
SES(システムエンジニアリングサービス)は、システム開発などに従事するエンジニアを提供するサービスで、クライアントとは「準委任契約」を結ぶことが多いです。
この準委任契約において、稼働時間に範囲を設けて基本単価を決め、稼働時間の範囲を上回れば増額、下回れば減額と、支払金額を計算することを精算と言います。

精算幅とは

稼働時間に設けられた幅を精算幅と言います。
精算幅は準委任契約を結ぶときによく使われますので覚えておきましょう。

一般的に多く使われている精算幅は140~160時間です。
企業やプロジェクトごとに精算幅が異なるため、160~200時間や140~200時間などもあります。

ちなみに精算幅を使うときによく使われる言葉が「下限時間」と「上限時間」です。

上下割について

上下割とは下限時間と上限時間によって超過・控除を算出する方法です。

控除は実稼働時間が下限時間を下回った場合に支払金額の減額を行うこと、
超過は実稼働時間が上限時間を上回った場合に支払金額の増額を行うことを言います。

文章だけではわかりづらいと思いますので、下記に記載した上下割の実際の計算方法をご覧ください。

【控除の例】Aさん
基本単価:50万
精算幅:140~180時間

Aさんの稼働時間が140~180時間内だった場合、50万円支払われますが
実稼働時間が100時間だった場合の計算方法を記載します。

<控除の計算方法> <Aさんの計算方法>
基本単価÷下限時間=控除単価 50万円÷140時間=3,571円 (少数点以下切り捨て)
下限時間-実稼働時間=精算時間 140時間-100時間=40時間
控除単価×精算時間=精算単価 3,571円×40時間=142,840円
基本単価-精算単価支払金額 500,000円-142,840円357,160円
Aさんに 357,160円 支払われる

【超過の例】Bさん
基本単価:70万
精算幅:140~180時間

Bさんの稼働時間が140~180時間内だった場合、70万円支払われますが
実稼働時間が200時間だった場合の計算方法を記載します。

<超過の計算方法> <Bさんの計算方法>
基本単価÷上限時間=超過単価 70万円÷180時間=3,888円 (少数点以下切り捨て)
実稼働時間-上限時間=精算時間 200時間-180時間=20時間
超過単価×精算時間=精算単価 3,888円×20時間=77,760円
基本単価+精算単価支払金額 700,000円+77,760円777,760円
Bさんに 777,760円 支払われる

中間割について

中間割とは精算幅の中間値で超過・控除それぞれの支払金額を算出する方法です。

Cさんの場合
基本単価:45万円
精算幅:140~180時間 → 中間値は160時間

実稼働時間が130時間だった場合 ← 控除の場合
実稼働時間が200時間だった場合 ← 超過の場合

【控除の場合】 Cさんの実稼働時間が130時間だった場合
基本単価÷中間値=中間割単価 45万円÷160時間=2,812円 (少数点以下切り捨て)
下限時間-実稼働時間=精算時間 140時間-130時間=10時間
中間割単価×精算時間=精算単価 2,812円×10時間=28,120円
基本単価-精算単価支払金額 450,000円-28,120円421,880円
Cさんに 421,880円 支払われる
【超過の場合】 Cさんの実稼働時間が200時間だった場合
基本単価÷中間値=中間割単価 45万円÷160時間=2,812円 (少数点以下切り捨て)
実稼働時間-上限時間=精算時間 200時間-180時間=20時間
中間割単価×精算時間=精算単価 2,812円×20時間=56,240円
基本単価+精算単価支払金額 450,000円+56,240円506,240円
Cさんに 506,240円 支払われる

固定割について

固定割は残業しても実稼働時間が短かったとしても基本単価が100%支払われることを言います。
残業代が支払われないため、稼働時間の管理が必要となります。

契約時における注意事項

休憩時間

準委任契約後、エンジニアが客先常駐となったとき、労働基準法で定められた休憩時間以外の休憩時間について決まりがある場合があります。

例えば…
■ 18:00~18:30、20:30~21:00…
■ 05:00~05:30、07:30~08:00…
など、就業時間外の勤務について、2時間勤務する毎に30分の休憩を取るよう時間帯が指定されていることもあります。

労働基準法で定められている休憩時間以外の休憩時間が必要のない場合は契約書から外してもらうなど、調整が必要となりますので、事前に確認しておきましょう。

精算条件

精算条件でよく使われるのは「10円未満切り捨て」「100円未満切り捨て」「精算時間は15分単位」「精算時間は30分単位」などがあります。

まず「10円未満切り捨て」「100円未満切り捨て」ついて中間割で記述したCさんの例を使って解説します。

Cさんの超過・控除単価は 2,812円
「10円未満切り捨て」の精算条件がある場合
      ⇒ 超過・控除時間単価:2,810円(10円未満切り捨て)
「100円未満切り捨て」の精算条件がある場合
      ⇒ 超過・控除時間単価:2,800円(100円未満切り捨て)

上記のような記載となり、精算が行われます。
企業やプロジェクトごとに切り捨ての値が変わるので確認しましょう。

次に精算条件の「精算時間は15分単位」「精算時間は30分単位」について解説します。

例えば…
Dさんが9:00~18:00の勤務時間で18:15に退勤したとします。(休憩1時間取得)
精算時間が15分単位の場合 Dさんは8時間15分働いたことになる。
精算時間が30分単位の場合 Dさんは8時間働いたことになる。

15分単位か30分単位で稼働時間数が変わりますのでこちらも契約前に確認しておきましょう。

契約前の記載方法は多様にありますが、例えば…
調整時間単位: 1日あたりの作業時間を15分単位で記載するものとし、
15分未満の場合は、切り捨てとする。
基本業務時間: 140時間〜180時間(160割/15分単位)

カッコに記載がありますが、15分単位や30分単位と書かれていることが多いので精算条件についてしっかり確認しましょう。

最後に

いかがでしたでしょうか。精算や超過・控除の計算方法、注意事項について知っていただきたく、今回は詳しく記載いたしました。皆様のお役に立てれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。