毎年、春になると姿を現す鳥と言えば・・・ツバメです!
巣で子育てをする姿は微笑ましいものですが、巣の外で傷ついてしまったツバメを見つけることもありますよね。
そんな時、そのツバメはどうすればいいのでしょうか?
今日は、ツバメの保護についてお話させていただきます。
▼目次(クリックで見出しへジャンプ)
野生のツバメの厳しい世界
ツバメは常に同じ場所に居るのではなく、温かい環境を求めて海を渡ることでも知られています。
これから温かい時期を迎える日本で、巣を作って、子どもを増やし・・・そしてまた、温かい国を目指して旅立っていきます。
日本でよく見られるツバメの姿は、民家の軒下などに巣を作り「雛鳥を育てる姿」です。
親鳥が1日中何度もエサを獲りに出かけ、雛鳥にエサを与える姿は人の心を打ちますよね。
「どうか無事に・立派に育って巣立って欲しい」という、願いにも似た気持ちを抱く人が多いと思います。
しかし、現実は厳しいものです。
すべての雛が無事に巣立てるわけではありません。
外敵にやられてしまったり、温度変化についていけずに病死してしまったりと、自然界は雛にとって決して優しいものではありません。
巣から落ちた雛は助けてはいけない?
自然的な事故以外では「巣から落ちる」という事故があります。
巣の外でピーピー鳴いてる雛を見つけたら、助けたくなるのが人間です。
でも・・・実を言いますと、雛の保護は「禁止」されています。
「どうしてダメなの?!見捨てろって言うの?!」
と言いたくなりますが、コレには深~い理由があるのです。
怪我をしたツバメの保護について
雛鳥の場合
野鳥の雛鳥の保護は、禁止されています。
ツバメだけではなく、スズメなどの野鳥の雛が落ちていても、絶対に「保護」しないでください。
なぜなら、必ず雛の側には親鳥がいるからです。
雛の近くの電線などから親がずっと見守っています。
または、落ちたのではなく「巣立ちを迎えた雛」である可能性も十分にあります。
せっかく巣立ったのに、人間が連れて帰ってしまっては巣立ちの意味がありません。
野鳥を成長まで育てることはとても難しく、栄養失調などで死なせてしまうことの方が多いです。
落下した雛を巣に戻してやるのも、容易にすべきことではありません。
事故で落下したのではなく、病気を見つけた親が他の雛への感染を防ぐためにその雛を巣から落とした、という可能性もあります。
落ちている雛の状態を、人間が正しく判断することはほぼ不可能なのです。
成鳥の場合
ケガをしている成鳥の保護は、ヒナほど禁止されていません。
明らかに飛べない・衰弱している場合は独断で判断せず、獣医さんに診てもらいましょう。
全ての獣医さんが野鳥を診てくれるとは限りませんので、近隣の獣医さんに事情を説明して指示を仰ぎましょう。
お住まいの地域によって対応が異なりますが、「野生動物を保護する当番医」が決められている地域もあります。
野鳥は国の保護の下にある動物ですので、市民が勝手に保護・飼育することができません。
保護や飼育が必要と判断された場合は、獣医さんから自治体に詳細を報告をしてくれます。
(保護した日時、保護した場所などを控えておくことをおすすめします。)
あくまでも「預り物」として、丁寧な扱いを心がけてください。
家に持ち帰れない場合は
自宅に連れ帰れない場合は、せめて安全な場所に移動させ「二次災害」を防ぎましょう。
成鳥がその場から動けないという場合、羽根が折れてしまったか著しく衰弱していることが考えられます。
特に、車道など車の往来がある場所では轢かれて確実に死んでしまいます。
励まそうと近づいたパートナーまで一緒に轢かれてしまうケースもありますので、安全な場所へ移してあげてください。
触るときは布などでくるみ、触ったあとは石鹸で手を洗ってください。
近くに診てくれる獣医さんの心当たりがあるなら、相談してみましょう。
獣医さんだけではなく、自治体で野鳥の保護をする窓口を設けているところもあります。
自分で保護できないけど放置することもできない場合、各窓口に問い合わせをしてみてください。
自宅で保護する場合にやるべきこと
自宅に連れて帰ったら、まずはツバメが落ち着ける環境を整えてあげましょう。
警戒心の強いツバメは、人間に捕まってドキドキしています。
暗く・温かい環境をつくって、まずは休息させましょう。
ドキドキした状態ではエサを食べることはありません。
ケージを覗いたりせずに、「安全で温かい場所に来た!」と安心させることが最優先です。
飲み物は?
なにか飲ませてやろうとするなら、冷たい水ではなく少しぬるめの水に蜂蜜などを混ぜて飲ませてみましょう。
クチバシの横に、1滴2滴くらいチョンチョンと水分を置いてやると口を動かしてくれるかもしれません。
何を食べるの?
肝心の食べ物ですが、インコのエサはまず食べません。
ツバメは昆虫などを食べる肉食の鳥ですので、虫を与えなければいけません。
ペットショップに「ミールワーム」という幼虫の状態で売られているエサがあります(イモムシですから気持ちはよくないですよ!)。
普段ミールワームを食べていないツバメの場合は「食べ物」として認識しませんので、口をこじ開けてワームを突っ込む「強制給餌」をする必要もあります。
一度食べ物だと認識すれば、後はピンセットなどで摘んで見せると自分から食べようとします。
1人ではどれも難しい、協力者がいないという場合は獣医さんに給餌をお願いしてみましょう。
元気になったらどうすればいい?
元気になり、自然に帰しても大丈夫な状態になれば、保護した場所に戻してあげるのが一番です!
パートナーが帰りを待っている場合もあります(長い期間保護している間に、別のパートナーが出来ていることもあります!)。
本当に自然に帰して大丈夫なのか、しっかりと観察してあげましょう。
十分に飛ぶ力がないまま帰しては、カラスに捕まったり車に接触することもあり得ます。
二度と自然に帰れなさそうな状態の場合は、飼育し続けることも念頭におきましょう。
飼育する場合にも、保護した時と同じように獣医さんに報告しましょう。
まとめ
- ツバメの雛の保護はしてはいけない!
- ツバメの雛の側には、必ず親鳥がいる!
- ケガした鳥は保護しても獣医さんに診てもらえる可能性がある!
- ケガした鳥を保護する場合は獣医さんに相談をする!
- 野鳥の保護・飼育は独断でしてはいけない!
- ツバメは肉食の鳥なので、インコのエサは食べない!
- ツバメのエサは、「ミールワーム」などの昆虫類!
- 衰弱している場合は「強制給餌」が必要!
- 自然に帰すなら、本当に生きていける力があるか確認を!
今回、ツバメの記事を書かせていただいたのには、理由があります。
まさに今、ケガをした成鳥のツバメを保護しているからです。
道路の真ん中にうずくまっていたのを発見し、轢かれかけているので移動させようとしたところ、明らかに衰弱していたため保護に至りました。
保護した翌日、獣医さんにさっそく診ていただいたところ、「急激な温度変化による衰弱」と診断されました。
獣医さんで、糖液やミールワームを強制給餌してもらいました。
その後、私の手からミールワームを食べるようになったので、申請を出してわが家で引き続き保護することになりました。
このツバメさん、獣医さんに行く前に1つの卵をわが家で産んでくれました。
寒い上に、おなかに卵・・・辛い状況をよく乗り切ってくれたと思います。
車に轢かれそうなあの姿を思い出すと、さぞや怖かっただろう・・・と私が泣きたい気持ちにさせられます。
保護から4日目、日に日に図々しくなり「エサをよこせ」と要求するほど元気になり、ホッと一安心しています。
飛ぶ日を毎日心待ちにしていますが、保護から4日目の今日まで飛ぶ気配はなく、部屋中を歩いて散歩しているに留まっています。
骨折はしていないとのことですが、どうも右肩の動きがよろしくなく・・・羽ばたきはすれど浮上が出来ません。
もうしばらくの間、私がツバメの理学療法士と栄養士をつとめたいと思います。
(もし・・・このまま飛べないようなら、許可を得てわが家で飼育します!家族全員大歓迎しています!)