AとBの会話。
A「肉まんとピザまんだったら、私はガゼン、肉まんがいいな」
B「それ、おかしいよ」
A「え? ガゼン、肉まんでしょう!」
B「そうじゃなくて……ダンゼン、肉まんなの!」
「俄然」と「断然」って、どう違うの?
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俄然の意味・使い方
「俄然」の「俄」は、「にわかに」「急に」という意味をもっています。
ですから「俄然」は、突然にある状態が生じること、急に状況が変わることを示しています。
(急に、やる気になってきた)
例:彼女の声援を受けて、チームは俄然、攻勢に転じた。
(急に、攻勢に転じた)
例:主人公の幼なじみが登場するようになってからは、本が、俄然面白くなった。
(急に、面白くなってきた)
何かの刺激によって、「急に・突然に」変化が起こったのです。
誤った使い方
最近「俄然」を、変化とは関係ない状況で、強調表現として使用するケースが見受けられるようになりましたが、これは誤用です。
強調したい場合は「俄然」ではなく「断然」を使うのが正しいのです。
〇 この本は、あの本より、断然、面白い。
断然の意味・使い方
「断然」には、きっぱりと決める意味や、強調の意味があります。
例:どう見ても、彼の言っていることは、断然正しい。
例:英語ができると、就活には断然有利だよ。
強調表現として使えるのは、「俄然」ではなく「断然」です。
ダントツ
ところで「〇〇選手がダントツの強さを見せて優勝した。」のように使われる「ダントツ」という言葉を聞いたことがあるでしょう。
あれは「断然トップ」の略語で、「並外れてトップ」「ズバ抜けて1位」という意味です。
昭和時代の造語ですが、「断然」という漢語表現と、英語の「トップ」の結びつきのアンバランスさが面白い言葉ですね。
俄然と断然の違いは?
2つの言葉は、語感が似ているため、混同されるようになってきましたが、はっきりとした違いがあります。
「俄然」は、急な状況の変化が見られる時。
「断然」は、きっぱりと決める時や、非常に、絶対に、という強い態度を見せる時。
- 俄然 → 急に変化する
- 断然 → 強い態度
という点を押さえておきましょう。
2つを区別するには、「断然」から「断」を抜き出し、「断じて許しません」「断固反対」など、自分に分かりやすい強調表現を連想してみると良いですよ。
まとめ
- 「俄然」は「突然・急に」状況が変わるさまを表す。
- 「断然」は「きっぱり・絶対に」という強さを表す。
独特の強い響きを持つ、この2つの言葉。
印象に残る言葉だけに、会話でも文字にした時でも、うまく使えば、大きな効果を発揮します。
正しく使い分けたいですね。